第2回毎日地球未来賞 干害地に井戸や診療所 マリ支援20年「カラ」


地球規模の課題である食料・水・環境の問題解決に取り組む個人や団体を顕彰する「第2回毎日地球未来賞」に西アフリカ・マリの農村支援を続けるNPO法人「カラ=西アフリカ農村自立協力会」(東京都武蔵野市)が選ばれた。

マリは農業や畜産、金の採掘などが盛んな内陸国。干ばつによる土壌劣化や自然環境の破壊に伴う貧困が深刻な問題となっている。

カラは代表理事の村上一枝さん(72)が92年に設立し、南部農村地域で20年以上にわたり、飲用・農業用井戸の設置▽診療所、助産院の建設や看護師らの育成▽識字教室の開催――などに取り組んできた。住民の自立を後押ししようと、スタッフは現地の技術者を雇い、施設を造る際も可能な限り現地で材料を調達。地元の女性に裁縫やせっけん作りなど現金収入を得やすい技術を指導している。

現在、マリはイスラム過激派勢力が北部を占拠するなど混迷を深めている。村上さんは現地スタッフの状況を気にかけながら「評価されたことは励みになる。今後も住民が自立する手助けを続けていきたい」と喜んだ。

クボタ賞に選出された西日本科学技術研究所代表取締役の福留脩文(しゅうぶん)さん(69)=高知市=は、環境に配慮した土木技術「近自然工法」を提唱。自然素材や伝統技法を活用した技術開発に取り組み、全国の河川などで実践している。後継者への技術指導や市民への啓発にも力を入れる。

同じくクボタ賞のNPO法人「岩手子ども環境研究所」(吉成信夫理事長、岩手県葛巻町)は、廃校になった小学校を再利用したエコスクール「森と風のがっこう」を01年に開いた。「もったいない・ありがたい・おかげさま」をモットーに、楽しみながら循環型の生活を実感できる活動を進める。【勝野俊一郎】

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