■グランプリ
◆岩手県宮古市立鍬ケ崎小<\/p>
◇津波から身を守る5提言
グランプリに輝いた岩手県宮古市立鍬ケ崎小は、6年生の岩田佳樹君(12)と吉田陽貴(はるき)君(11)が「歩みだそう未来への第一歩」と題して発表した。
東日本大震災では校庭まで津波が押し寄せたが、全児童が高台の神社に避難して無事だった。発表では、この時の体験を映像を交えて紹介。震災後、住民を取材してまとめた「命を優先し、何があっても戻らぬべし」など、津波から身を守る「五つの提言」について話した。更に、復興に向けて歩み出した魚市場やすし店など地元の人々、震災前の美しさを取り戻した「浄土ケ浜」「青の洞窟」といった観光名所も紹介した。
最後に、2人は「復興まで何年かかるか分からないが、希望を持つことや、向き合う勇気は強くなっている」と話し、「地域の人々と支え合い、活気のある生活が送れるよう頑張る」と結んだ。
■大賞
◆徳島市津田中
◇1356人に意識調査
2度のグランプリを含め4度目のぼうさい大賞を受賞した徳島市津田中は、3年生4人がグラフや映像を交えて活動を報告した。
今年度のテーマは「南海地震発生後の復興まちづくり計画」。津波で校区内の建物が流されたと想定、事前に復興計画を策定しようと3年生約30人が住民1356人に意識調査を実施した。「被災後、何年までなら、まちづくり計画を待てるか」との問いに、9割近くが2年後には校区外に出るという驚きの結果を公表し、事前のまちづくり計画の必要性を感じさせた。
生徒らは調査結果や東北の復興計画を参考に、幼稚園や病院を高台に建設することや、内陸部に住宅地、沿岸部には工業団地や公園を建設する独自の土地利用案を発表。「防災学習の基本はつながること」と結び、地元の人たちと共に取り組んだ活動を締めくくった。
◆岩手県立宮古工業高
◇「模型で授業」岡山でも
岩手県立宮古工業高は、3年生の舘下(たてした)将さん(18)と沼里(ぬまり)幸佑さん(18)が、沿岸部の模型を使って津波の恐ろしさを伝えた出前授業の内容や、近隣の小中学生を対象に実施した防災教育のアンケート結果を発表した。
同高はこれまで宮古市内各地の沿岸部模型を9基作った。出前授業では、この模型に津波発生装置で小さい津波を起こし、防潮堤の役割を認識した後、大きな津波で町の被害状況を確認。実演後に過去の被害の写真を見せながら、津波の恐ろしさや身を守るための方策などを考える。今年度は東日本大震災後初めて、県外の岡山市でも実演した。
発表会では、模型と被災地5カ所の写真を示し、いまだに冠水場所が広範囲にあることも紹介した。また、アンケート結果では舘下さんが「学校により授業時間に格差がある」などと課題を指摘した。
◆岩手県立大
◇支援学生の拠点整備
岩手県立大学生ボランティアセンターは大森洋希(ひろき)さん(19)と小原裕也さん(19)が、全国から東日本大震災の被災地支援に訪れた学生と地元との調整や、自転車での大学周辺のパトロール活動などの取り組みを報告した。
大森さんは、東日本大震災発生直後にメンバーが近くの住民宅を回った際、「来てくれて安心した」と感謝されたことを紹介し、「これからも多くの命を守る仕組みを考えたい」と決意を語った。
小原さんは、同センターが中心になって始めた「いわてGINGA―NETプロジェクト」について、「夏休みなどに全国から東日本大震災の被災地に集まる学生ボランティアの移動手段や活動拠点などを整備してきた」などと説明。「この活動でできたネットワークを生かして支援活動を一層充実させたい」と意気込んだ。
■優秀賞
◆岩手県釜石市立釜石小
◇避難体験を発信
岩手県釜石市立釜石小は東日本大震災発生4カ月後に定めた毎月11日の「釜小ぼうさいの日」の取り組みを報告した。
今年度は「自ら救った命だから、あなたのために」をテーマに、支援される立場から、支援に対する感謝への思いや自分たちの体験を発信する活動に発展させてきたという。
同小では全校生が下校した後に震災が発生。市内は壊滅的な被害を受けたが、児童は自分の判断で避難して全員無事だった。震災から1年半後には5年生が初めて、当日どのように避難したかを全員で話し合った。
発表した5年生の大島優生(ゆうき)君(11)と藤原瑠人(りゅうと)君(11)は「僕たちが命を守れたのは、防災の取り組みの積み重ねがあったから」と話し、「より多くの地域の人に、体験したことを発信していきたい」と決意を語った。
◆宮城県気仙沼市立階上中
◇避難所訓練を立案
宮城県気仙沼市立階上中は、2年生の柏岳斗(やまと)さん(14)と小野寺将史さん(14)が「私たちは未来の防災戦士」と題して発表した。
実効性のある防災学習が必要と考え、「自助・共助」をテーマに地域と連携した取り組みを展開。仮設住宅の人たちと合同訓練をしたり、生徒らが企画・立案した避難所設営訓練も実施した。
昨年12月7日に強い地震があり、津波警報が発令された際、体育館に避難所を設営した。「避難者数は300人を超えていたが、率先して協力できた」と報告した。
他にも浸水エリアや避難経路などを記した防災マップを作製。防災かるたも作り、地元小学校で出前授業を行った。発表の最後に、柏さんは「忘れてしまいたいこともたくさんあるが、それでは前進できない。未来の防災戦士として頑張る」と抱負を語った。
◆福島県立磐城高
◇海岸歩き被災地図
福島県立磐城高(いわき市)は新家杏奈(しんかあんな)さん(2年)=写真=と高木栄理子(たかきえりこ)さん(1年)が天文地質部を代表して報告した。
いわき市では、東日本大震災で430人が犠牲になった。部員らは昨年度、「同じ悲劇を繰り返したくない」と考え、週末や休日に同市の海岸線約60キロを歩き、約600人から被災状況を聞き取って浸水範囲や津波の高さを地図にまとめた。
調査結果を基に、海に並行する河川や幅の広い防潮林、二重の堤防などが津波被害を軽減したことを突き止めるなど、学習は年々進化している。今後、防潮堤の高さなどを盛り込んだ独自のハザードマップを作り、国土交通省や自治体のほか、高台移転など復興まちづくりが進む地元市民に伝えることが目標だ。
新家さんは「将来は津波研究者になって、古里を防災に強いまちにしたい」と決意を述べた。
吉田卓矢、堀川剛護、田所柳子、川口裕之、向畑泰司(社会部)、近藤諭(神戸支局)、中尾卓英(福島支局)、望月亮一、山崎一輝(写真部)が担当しました。




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