認知症110番

夫のトイレ

 73歳の夫と2人暮らしです。5年前から物忘れがひどくなり、最近排泄で困っています。トイレの場所がわからないのか、暗い隅の方で排尿してしまいます。大便はトイレでするのですが、尿の方は回数も多く、漏れてしまうことも多々あります。場所が決まっているのではなく、予測がつかなくてあわててしまいます。オムツを使うことも考えたのですが、かわいそうなので使っていません。家の中もオシッコ臭く、ときどき訪問する娘たちからも嫌がられています。(大阪府、妻、70歳)

【回答】介護の負担考え、オムツも考えてみては

 大人の尿は臭いも強く、量も多いのでお困りの様子がよくわかります。尿意はあるようなので、モジモジしたり、ズボンを下げるようなしぐさ、トイレを探すようなそぶりなど何らかのサインがあると思いますので、見逃さないで誘導しましょう。誘導の際の声かけに配慮することが大切です。また、トイレのドアを開けておいて、トイレの場所がわかるようにしておくと、自然な流れで済ますことができる場合もあります。

 暗い隅の方で排尿するということは、トイレは暗い所というイメージがあるのかもしれません。動く範囲は明るくしておく、明るい色を使う、特に隅や角などは明るくしておく、壁や柱が古くなってくすんでいる場所などには、人が描かれている絵やポスターなどを貼っておくこともひとつの方法です。

 臭いですが、臭いを発生する物を取り除くことが基本ですから、排尿する箇所を少なくすることが第一ですが、換気、拭き掃除をこまめにする。脱臭剤などもたくさん出ていますので活用するのもいいですが、基本は忘れないで対処しましょう。

 しかし、ご主人と生活をともにするだけでもかなりの負担になっていると思いますので、あまり負担にならないようにオムツの使用も考えてはいかがでしょうか。さまざまタイプのオムツがありますので、用途に応じた種類を試して、ご主人に合ったものを探しながら、一方ではトイレでスムーズにできるようすることも大切ですが、介護する人の負担やストレスが軽くなることも考えましょう。加齢とともに排泄機能の低下も考えられますので、回数や量などをチェックして気になるようでしたら医師に相談したらいかがですか。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大学教授=介護福祉学