認知症110番

義母と嫁の育児

 1年前に2世帯住宅に建替えと同時に、認知症軽度の義母(72歳)と同居し、半年前に長男夫婦(26歳、妻25歳、長女3ヶ月)と同居しました。私たちは夫婦(夫50歳)と義母は1階に、長男夫婦は2階にそれぞれ住んでいます。長男の妻は、仕事に復帰し孫の世話を私がしています。義母は曾孫をかわいがり、自分が食べる物を曾孫にも食べさせてしまったり、寝ているのに抱き上げたりしてしまいます。嫁は初めての子どもなので、育児書を参考に意見を言うのですが、義母が勝手に手を出すので嫌がり、休みの日などは1階に下りてきません。このところ、ギクシャクしてしまい悩んでいます。(埼玉県、長男の妻、50歳)

【回答】家族の絆、認め合うことから

 お義母様は、曽孫がかわいいから、そうした行動をとるのでしょうし、長男の妻もきちんと育てたいから育児書を参考にいろいろ考えるのでしょう、その間に入って仲を取るあなたのご苦労がよくわかります。お義母様に言葉で言っても、そのときだけはわかっても日々の生活では、同様のことをまた繰り返ししてしまうのでしょう。そのことは認知症の特徴だと家族がわかっていても、目の前で起こる行動は、許しがたいのでしょう。認知症そのものを理解するということと、現実の生活で起こることへの感情には相違があります。だからこそ、精神的に疲れてしまうのですよね。

 お義母様は、日々の生活の中では動きも普通にでき、特に病気や障害が目に見えない状態にあるため、物忘れがひどくても一つひとつの行動に困難が生じているとは思えないのでしょう。表面的にはそのように見えても、日常のなんでもないように見える行動にも、認知機能が低くなってきて、外から見える以上にお義母様にとっては難しい行為なのです。そのことを意識的に理解し、一つひとつの行為を見守るようにしていきながら、一方では現実的な解決方法を考えましょう。

 例えば、長男の妻が休みとなる土・日曜日にデイサービスをしているところをケアマネジャーに探してもらうのも手です。最近では土・日・祭日でもデイサービスをしているところが結構、あります。あるいは地域の老人クラブやサークルなどで参加できそうなところを探すのもよいと思います。その場合はあらかじめ参加できるかどうかを調べておきましょう。

 お孫さんはどんどん成長していきますから、いつかは現在と違う状況になってくると思います。その時々に応じた対応が必要でしょうが、お義母さまの曾孫をかわいがる気持ちは、これからも変わらないと思います。その気持ちを受け止めてあげながら安全に生活できるように、周りの家族も意識して理解しあい、ときどき休息が取れる工夫を考えてみる必要がありそうです。時にはお義母さまの行動に癒されることだったあるでしょう。平穏無事ばかりではないでしょうが、いろいろなことが絡み合って家族としての歴史と強い絆ができるのだと思います。

 お義母さまのよいところや癒される場面を見つけると、思っていた以上にたくさんあることに気づきますよ。ときどき発想を意識して変えてみましょう。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大学教授=介護福祉学