認知症110番

母から5分おきに電話が

 78歳の母(要支援1)と2人(長男)暮らしです。かなりもの忘れが目立ってきましたが、週2回の予防デイサービスを利用しています。友人とも交流があり、食事もその時によって簡単な調理をしたり、レンジでチンして食べています。なんとか生活はできていますが、私の携帯電話に何度もかけてきて、母専用の携帯にしています。多いときは5分おきくらいで、仕事に集中できないことがしばしばです。このままでは仕事に支障が出るし、仕事も忙しく、困り果てています。(福島県、息子、52歳)

【回答】抱え込まず周囲に相談を

 携帯電話が鳴るたびにストレスを感じておられるのでしょうね。でも、むげにはできず、出てみると、急ぎでもなんでもなく、かけてくるほどのこともない内容ばかりにうんざりされている様子、とてもよくわかります。お母様は、自分が忘れやすくなってきたことを感じていて不安なのだと思います。不安だから、息子に確認したり、声を聞くと安心できる、でも、数分前にかけたことを忘れてしまい、何度もかけてしまうことの繰り返しになってしまうのでしょう。かけてこないときもあるのでしょうが、一定ではないところに対応の難しさがありますよね。仕事中に何度もかかってくることは、想像以上に負担感があると思います。電話に出なければ、お母様は息子に何かあったのではないかと別の不安を抱き、ますます不安が増長してしまい、電話をかけ続けることになってしまうと思われます。

 日々の生活をもう一度確認してみましょう。以前に比べて生活で変わったことはないだろうか、物忘れが進んでいないか、会話や理解の程度に変化はないかなど、認知症が進んできて不安状態が多くなってきたことも考えられますので受診状況やデイサービス、生活状態などの把握をしてみましょう。また、予防デイサービスで行っている内容はお母様が喜んでいるか、あなたが携帯電話で困っている状況などをケアマネジャーに伝えたり、要介護認定を受けたときと状況が変化していれば区分変更なども視野に入れ、現状の生活がお母様の不安につながっていないかなどの検討も必要と思います。

 一方では、あなたの仕事がスムーズにいくように、職場での介護に関するフォローなど福利厚生制度があるかなども把握しましょう。職場では聞きにくいという人もたくさんおられますが、だれもが直面する時代になってきましたので、まだ制度として整備されていなくても、担当部署に社内では具体的にどのような取り組みがなされているかなど聞いてみましょう。社内の制度を知るとともに、地域でもさまざまな取り組みがありますので、自分だけで抱え込まないで、周囲の人や多様な取り組みの情報を得て、協力を求めていきましょう。

 まず、あなたが、介護が必要な状況を把握し、仕事を続けていきたいこと、現状で支障になっていることを職場やケアマネジャー、親しい友人に率直に伝え、解決の糸口を模索し試みてみましょう。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学