認知症110番

認知症デイサービスを勧められた妻

 76歳の妻は5年前にアルツハイマー型認知症と診断されました。夫婦二人暮らし、夫の私が家事全般をしています。会話は成立しませんが、世話をすると「ありがとう」と言い、ホッとする瞬間です。デイサービスを週5回利用しています。先日、デイサービスで「他の方と一緒は無理なので」と、認知症デイサービスの利用を勧められましたが、慣れない所に替わると不安が増すのではないかと気になっています。確かに年々できないことが多くなり、トイレもわからなくなってきています。(神奈川県、男、75歳)

【回答】抱え込まず周りを頼って

 何年も家事と奥様のお世話をされてこられたのですね。誰にでもできることではありませんよ、言葉では言えないご苦労があったでしょうね。また、お世話をしたからこそ今までは知らなかった奥様の良さにも出会えたことでしょう。いろいろ工夫を重ねながら自分たちの生活をつくりあげてこられたのでしょう。しかし、認知症は進んでいくことも頭に入れておきましょう。

 現在利用しているデイサービスでは他の利用者と一緒に行動できにくくなり、楽しむことが少なくなってきたのでしょう。職員としては、奥様にもっと丁寧にかかわることで楽しんでもらいたいと判断されたのだと思います。認知症対応型デイサービスは、現在利用しているデイサービスに比べて人員配置も多く、認知症の方々への理解が深い職員がいます。一人ひとりの認知機能に合わせて支援することになっています。奥様の状態・状況に応じてきめ細かくかかわってくれると解釈してはいかがでしょうか。現在利用しているデイサービスに併設されているといいですね。違う施設であっても、認知症に対しての理解がある職員たちですので安心していいと思います。利用料金は今より少し高くなります。

 奥様は自分の気持ちを言葉で表すことは難しくなっていても、自分に対して何かしてくれたときの感謝の気持ちを伝えることができます。あなたの優しい温かい気持ちに響くこころは失われていません。これを持続できるようにしたいですね。そのためにも日々介護しているあなたが疲弊しないことが重要です。現在は、デイサービスだけの利用ですが、他にもいろいろなサービスがあります。相談したり、共に話しあったりする場もあります。近隣で活用できるところなどもケアマネジャーに積極的に聞いてください。寿命は年々伸びていく傾向です、まだまだ先は長いですから、あなたが一人で抱え込まないで周りの人たちに頼ることも考えてください。夫婦と言えども、一人ひとりの人生です。自分の時間を大切にし、気分転換を上手にして。介護の手間がかかるでしょうが、完璧を求めないで、小さな喜びを感じつつ過ごしていきましょう。くれぐれも無理をせずにね。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学