認知症110番

活発だった妻が警察の世話に

 70歳の妻と二人暮らしです。妻は元々活発な性格でサークル活動やボランティア活動で外に出ることが多く、私は読書やテレビで録画したものを鑑賞する生活です。ただ、妻は最近物忘れを頻繁にするようになりました。調理は妻がしていましたが、ガスの消し忘れがあるので一緒に調理するようにしています。会話も少なくなり、どこに出かけるかも言わずに外出し半日帰宅しないばかりか、数日前は警察の方に連れて来られびっくりしました。今までとは違った展開になってきたように思い不安でいっぱいです。(夫、71歳)

【回答】新たな人生と考え、一歩を

 最近物忘れが目立ってきた妻の行動が気になっておられたさなかに突然、警察の方に妻が連れて来られ動転したことでしょう。活発に活動する妻だったからその流れで現在も外出が多いと思っていたのに、どうも計画的ではなく目的や行き先もあいまいなまま習慣的に出かけている、などと感じられたのでは。いつもは家に帰ることができていて不都合はなかったけれど、今回はそうはいかなかったのではないでしょうか。

 悩みながら模索しておられると思いますが、今回のことを事実として受け止め、認知機能の低下が原因になっていることを考えて、これからお二人が穏やかに暮らせる方法を探っていきましょう。

 かかりつけ医などで受診をしているなら、そこで認知症の検査や相談をしましょう。受診していない場合は認知症外来などで受診し、近くの地域包括支援センターに相談しましょう。また、地域の福祉サービスや介護保険サービスなどの利用法についても調べ、お二人が気軽に相談でき、活用できるようにしましょう。妻が嫌がるようであれば無理強いせず、サークルやボランティアの仲間にも活動状況をやんわりと聞きながら、簡単ではないと思いますが妻が納得する方法を見つけましょう。

 日々の生活では大まかなスケジュール表をつくり、種類別のゴミ出し、受診、サークル活動やボランティア活動の時間、場所などを記入してチエックできるようにしましょう。できれば、その日の服装、出かける場合は靴やバッグなどもメモしておくといいと思います。これらはあくまでもチエックすることが優先ではなく、お互いが気持ちよく過ごすための方策なので、緩やかな気持ちで進めていきましょう。

 そうは言っても実践することは簡単でなく、複雑な気持ちで不安だと思います。あなたと同じように妻も不安でいっぱいとなり悩んでおられると思います。大切なのはお二人が話し合い、プライドを守りつつ日々穏やかに過ごすことができ、納得しながら選択していくことだと思います。生活は今までの延長ですが、新たな生活方法を探り、笑顔で過ごせるように他者の支援や相談機関を活用することが大切です。自分たちらしい暮らしができるよう、一歩を踏み出しましょう。自分たちだけで悩まないで、多様なサービスや情報を活用しましょう。新たな人生のスタートだと思って前進してください。

回答者 是枝祥子(これえださちこ)
大妻女子大名誉教授=介護福祉学