読んでみた

遊行を生きる〜悩み、迷う自分を劇的に変える124の言葉

鎌田實著/本体1000円+税/清流出版(03・3288・5405)

 「遊行」という言葉は古代インドの聖人が人生を四つの時期に区切ったうち、最後の「遊行期」として登場する。死の準備時期ともいわれるが、著者は文字通り「遊び、行く」自由に生きていい時期と解釈する。そう考えると、70歳を前にして苦しんでいた著者は心が軽くなり、医師として「いいカマタ」を演じ続ける重責から解放され、生きることが楽になったという。

 そんな心の葛藤を赤裸々に紹介しながら、「人間は負けるようにはつくられていない」など古今東西の先達の名言を意訳、超訳して、われわれ迷える子羊たちに例示していく。そして「もう一回わくわくするようなことをしてみたい」と自身を奮い立たせ、地域包括ケアの再開に乗り出した。若者たちに担保なしで新しい介護サービスを作るための少額融資を行うなどプロがサポートしていく仕組みを立案中だ。