読んでみた

99歳からあなたへ いつまでも変わらない大切なこと

吉沢久子著/本体1000円+税/海竜社(03・3542・9671)

 シニア世代の生き方について生活者の目線で発言し続ける著者が、本書では若い世代に向けて語る。実は半世紀前に本書は書かれている。そこから抜粋、修正して編んだ本書は書名にもあるように、いつの時代にも大切なことばかりだ。戦争や災害で一夜にしてなくなってしまう物質的な財産よりも大切なものは「人生を切り開く力」と説く。日記をつけ、読書習慣をわがものとし、相手を思いやる生きた礼儀を心がけることを勧める。言い方を変えれば、丁寧に生きるということだろう。

 食いしん坊を自任する著者らしく、食事に関する言及は多い。「料理は自信をもって、けれども、謙遜に」の項では「鍋に入れて煮られれば、ちょうど、おいしいやわらかさになると、いいにおいをただよわせて、人に教えます」。料理を楽しみながら、丁寧に生き、思いやりを心がける。そんな生活の大切さを教えてくれる。