読んでみた

認知症ケアの神髄

服部安子著/本体3800円+税/フジメディカル出版

 「認知症の人はどんなことを感じ取っている?」「車の運転をやめさせたいのですが」「母の介護と育児でつぶれそうです」……

 浴風会ケアスクール校長の筆者が、30年にわたる認知症介護の現場で積み上げてきた経験をもとに、95の質問に答える形で望ましい認知症ケアなどを綴っている。

 認知症の人も自尊心や誇りを持っていると説き、その「心の中」を想像するよう勧める。「ティッシュなどを食べてしまう」という、食べてはいけないものを食する「異食」などに対しても、「本人の居心地の良い環境をつくる」ことを推奨する。遠距離介護をしていて、地元で「なぜ親を引き取らないのか」と冷たくされている人へのアドバイスなど、介護する側の思いにも寄り添っている。

 認知症がどんな症状で、認知症の人にどう対応すればいいのかがよくわかる。施設選びのチェックポイントや、終末期への対処など、実用面にも気を配った一冊だ。