読んでみた

半ダース介護 6人のおジジとおババお世話日記

井上きみどり著/本体1200円+税/集英社

 ハルコさん(50)は、夫婦の両親と夫の祖母、夫の育ての両親の計7人を介護してきた。それを聞いた著者がビックリ仰天。広く知ってもらおうとマンガにした。

 最初は実の父の介護から始まったが半年で看取って終了。「半ダース」には入らない。ただ、その際、将来に備えてヘルパー2級の資格を取ったのは、周到な準備のつもりだった。だが、夫の育ての父(そういう複雑な家庭です)が倒れたのをはじめ、「芋ヅル式」に6人の介護が始まって、さあ大変、どうしよう、というお話。

 身体の大きな育ての父「くまパパ」には、排尿ケアが待っていた。導尿管を挿入する尿道口(ある動物の鼻に例えています)の消毒、尿バッグの強烈な臭い。実際はもっとすごそう。

 「くまパパ」が倒れたショックで美人の妻「美ママ」が調子を崩す。夫の実母「小ババ」は認知症の男性と恋愛関係に。そんな中で一番のしっかり者、夫の祖母「大ババ」が認知症に……。

 個性的な面々が住む3軒の家に自転車で通い続けたハルコさん。最後に気付いたのは「自分を大切にする」ことの大事さだった。基礎知識の解説もあり、いろいろ考えさせてくれる本。