読んでみた

窓辺のそよ風

永原むつよ著 1400円+税(新風舎)

 「年寄りの読む本はないでしょうか?」。大分市でうなぎ屋さんを営む著者は、近くの書店で老夫婦と店員のこんな会話を耳にした。12年前のこと。以来、高齢者の心がなごむような物語を書いてきた。「人の悪口というものが、聞き苦しいものであること、そして、言う本人にとっても悲しいこと」を、朝の散歩で出会う老いた男女を通して描いた「墨絵の葉書」など10編をまとめた創作短編集。あとがきに「数多くの作家が、高齢者向けに個性的な読物を、沢山書いて下されば…」とある。

2002年 財団報「新時代 New Way of Life」より