読んでみた

間違いだらけの老人ホーム選び

小嶋勝利著/プレジデント社/税込み1650円

 著者は介護付き有料老人ホームで介護職や施設長を経験し、ホーム運営のコンサルタントや、入居紹介業務を行っている。実体験に基づき注意点を指摘している。

 著者が考える良いホームとは、ひと言で言えば「空き室がないホーム」。では、そこに入居するにはどうしたらいいのか?

 方法が2つ紹介されている。まずは事前に「必ず入ります」と予約しておくこと。ホームを見学し施設長や介護、看護職員と面談しておくのもいい。次に「友の会」のような会員組織があれば入会しておくこと。当然ながら、自身の経済力にあった施設を考える必要がある。

 いったん入居したホームを「終(つい)の棲家(すみか)」と考える必要はない。病気や健康状態の変化に合わせての「転ホーム」も勧めている。

 有能な職員に手厚い介護を受けられるのは人件費を多くかけられる施設、つまり高額な施設になる。「介護の沙汰も金次第」は現実だ。しかし、もう一つ忘れてはならないのが、「介護の沙汰は子供次第」。「子供と良好な関係を築き、子世代が積極的に親の介護に介入できる環境にある家族の場合、老人ホームへの入居依存度は低くなる」からだ。自分はまだ先と思っている人にも、いろいろ考えさせてくれる本だ。