読んでみた

親が認知症かなと思ったら読む本

和田秀樹著/祥伝社/税込み858円

 高齢者に関する多くの著書を持つ著名な老年精神医学者が「高齢の親を持つ子ども」向けに2018年に刊行した単行本を改題、修正した文庫版だ。

 親が認知症になっても「できなくなったこと」を悲観せず「できること」を維持させ、「機嫌よく生きてもらうこと」を最優先せよと説く。

 具体策として親に変化を感じた際、従来と別のレストランに行くなど違うことに誘導し、前頭葉の活性化を促すよう求める。難聴なら早く補聴器を採り入れ、親子が分かり合えることを重視する。

 高齢者がお金に執着するのは自己愛が満たされていないから。客をいい気分にさせるサービスにお金を使わせよと指南する。相談を持ちかけて「今も頼られている」と思わせることも大切だ。

 「無理な延命措置はしないで」。例え元気な時に親がそう希望していたとしても、死が現実味を帯び始めると生への執着が強くなるという。「可能な限り生き延びるための治療」を勧めている。