読んでみた

人は死ねない〜超長寿時代に向けた20の視点

奥真也著/晶文社/税込み1980円

 医学の進歩で「かんたんには死ななくてすむ」ようになった。予測不能だった昔より計画的に生きられる時代でもある。医師で医療未来学者でもある著者は、「人生100年」が当然となったとき、私たちの生き方に起こる変化について考えるよう提唱している。

 長生きに関する価値観は多様化している。にもかかわらず、今の医療には患者の意志を確実に実現する仕組みがない、と指摘。まずは㈰延命治療を望むか否か㈪受け入れられる治療と受け入れられない治療㈫判断に迷う際に決定権を委譲する人の名前と続き柄−−を考えておくことを提案し、忖度(そんたく)なしに自分の死について自由に考えてみることが納得いく死を迎えるために大切だと訴えている。

 「どのように死を迎えていくか」を意識して生きていくべきだと考える。何歳までにやりたいことをやり遂げ、その時点の家族構成はどうか、資産をどう築き、それを使うのか、医師とは相談したいのか、などを「楽しく」考えてほしい、という。