読んでみた

70歳からは腸ボケ予防で最高の老後をかなえる

松生恒夫著/主婦の友社/1100円(税込み)

 人生100年時代といえども、70歳以上になると脳の機能が低下するとともに、腸管機能も低下(腸ボケ)し始める。腸は「第2の脳」とも言われ、「腸ボケ」の予防が脳機能の低下予防につながると指摘している。

 脳と腸は自律神経などを通じて深く関連しており、「腸脳相関」という言葉もある。脳は腸が進化してできたもので、腸にも脳と同様、情報の処理や伝達をする神経細胞が存在するという。そうした腸と脳の関係を消化器専門医の立場から易しく説いた一冊だ。

 神経伝達物質の一つ、セロトニンは脳を活発化させ、ストレスを和らげる役割を担っている。その栄養素はトリプトファンという必須アミノ酸の一種で体内では生成できず、食事から取る必要がある。セロトニン全体の95%は腸でつくられ、脳内でつくられるのは2〜3%に過ぎないという。

 便秘が慢性的にある人とない人では、ない人の方が生存率が高いという研究結果もある。ウォーキングや半身浴を日常に取り入れること、オリーブオイル、食物繊維を摂取することなど「70歳代のとるべき腸活」を解説している。