読んでみた

アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護

ワフウフ著/フォレスト出版/1870円(税込み)

 トップブロガーの著者ワフウフ、姉のなーにゃん姉妹が、2017年に認知症になった実母・あーちゃんの介護を始めてから施設に入れるまでの6年間の泣き笑いをイラスト付きで描いている。

 こう書けば明るい介護日誌のようだ。「そんなん、知らねーよ。」といった著者のツッコミが随所に出てくるなど文章も柔らかい。が、内容は哀切で深刻だ。

 元「毒親」の実母は、苦労の末連れていった病院で薬を「いいえ、必要ございません!」と断るような人。実は他の病院でとっくに処方されていたことを忘れていたのだが。妹の葬儀を母のものと言い、管理もできないのに自分の通帳に固執して姉妹を振り回す。

 あーちゃんの夫、たんたんは妻に要介護認定を受けさせようとせず、通院すら渋る。すべてカネのためだ。母の通帳を虎視眈々(たんたん)と狙い、母と母の財産を守ろうとする姉妹をあらゆる手を使って揺さぶる。その攻防はすさまじく、父の不在を突いて母を極秘に施設に入居させるまでの経緯は圧巻だ。

 夫と離れ、平穏を得たあーちゃん。それでも、夫を悪人と思いたくない、頼りたいという意識下の思いが漏れ伝わるのが切ない。