読んでみた

60歳から知っておきたい 認知症ではなく「うつ」だと知るための50のこと

長谷川洋/徳間書店/税込み1650円

 うつ病を認知症と早合点している人は少なくない。うつから認知症に移行したり、両方が併発したりすることもある。ただ、老人性うつは早期に対処すれば改善する。精神科医の監修者がうつと認知症の見分け方、対処法や予防法などを易しく紹介している。

 アルツハイマー型認知症(AD)の人の場合、質問に対してとりつくろう。一方、うつの人は「分かりません」と答えることが多い▽ADの人は同じ物を買ってしまうが、うつだと買い物に行かなくなる——など、ADとうつの鑑別のポイントを挙げている。

 高齢うつの特徴として、憂鬱(ゆううつ)な気分が目立ちにくいことがある。しかし「死んでしまいたい」という気持ちが強くなりがちで、自殺のリスクも高い。早期発見が大切で、本人の受診の抵抗感をなくす手立て、認知症を併発した人への対応方法も取り上げている。

 監修者は認知症研究の第一人者で認知症になったことを公表した故・長谷川和夫氏の長男。父との思い出や患者として父に向き合った日々をつづったコラムも随所に掲載されている。