読んでみた

レビー小体型認知症とは何か

樋口直美、内門大丈著/筑摩書房/税込み946円

 50歳でレビー小体型認知症(DLB)と診断された樋口氏と認知症専門医の内門氏による対談。「DLBの人は攻撃的」などというのは誤解で、「希望のある病気」という見解で貫かれている。

 「DLBと言えば幻視」の印象がある。ただ内門氏によると見ない人もいるという。怖い男性が大勢見えると訴える人から真剣に話を聞くと症状が改善した例に関し、樋口氏は「自分の話をちゃんと聞いてもらえることで孤立感とか不安感が減って安心できたのだと思う」と述べ、「幻視で問題なのは、見えることじゃなくて、周囲から異常視されること」と断じる。

 DLBは早期からの適切な治療とケアにより長くいい状態を保つことができ、生きがいややりがいを持つことが最高の治療法という。内門氏は認知症で苦しむ人について「100点を目指すから苦しい」と指摘。樋口氏も「できないことを無理やりやろうとしている。うまくいかなくて自分を責めている」と応じ、「どうしたら少しでも楽になるか、それだけ考えればいい」と助言している。