読んでみた

歌集 九十一歳になりました

鈴木ヒサノ著、1300円(ROKKO出版)

 「七十歳は古稀にあらずと息子等の祝いくれるというを断る」(昭和55年作)、「大型の台風上陸近しとて雨戸閉めよと子のファックス来る」(平成13年作)、「若葉風全身に浴びて柿畑の草を取りつつ歌材を探す」(15年作)など、愛知県豊川市で柿畑を守りながら歌を作り、独居生活している明治45年生まれの著者の短歌と随想集。三男の正幸さんは、比較教育と教育史が専門の神戸大学名誉教授。「加齢と能力」をテーマに一文を寄せ、「年をとると能力は衰退するのか」などについて論じている。

2004年 財団報「新時代 New Way of Life」より