読んでみた

認知症高齢者の心にふれるテクニックとエビデンス

藤田和弘監修/、2200円円+税(紫峰図書 )

 記憶障害や見当識障害、さらに妄想、徘徊、幻覚、せん妄など周辺症状が現れる認知症。しかし、認知症高齢者も不安や戸惑い、孤独と淋しさなど私たちと同じ正常な心の働きが残っている。こうした認知症高齢者の心を大切にした関わり方や活動、いわゆる非薬物的アプローチやセラピーの重要さが指摘されている。その手法や基礎となる研究成果について研究者や臨床実践者がまとめたのが本書。第1部では、認知症高齢者と接するための基本的なパラダイムやテクニックなどについて、第2部では、回想法や音楽療法、動物介在療法など具体的なアプローチや実例などを解説した。本書は主として福祉・医療分野で実証的な視点をもった実践家や研究者を育てるのを目的に執筆されたが、図表や写真も多く、説明もわかりやすい。専門書だけでなく入門書としても利用しやすい。

2007年 財団報「新時代 New Way of Life」より