読んでみた

聴育ー福祉人 露木悦子が拓いたもの

茂木 高利著、1400円+税(あけび書房)

 宙に浮いた年金、コムスンの不正、自殺者の増加…など最近、社会を揺るがす問題が噴出している。お寒い福祉の実態。そんな現状に対する提言として福祉人の故、露木悦子さんの理念と実践を教え子の著者がまとめたのが本書である。露木さんは、カウンセラー・保護司・福祉教育者であるとともに、特別養護老人ホーム「芦花ホーム」所長として「ひとづくり・施設づくり・まちづくり」に取り組み、多くの功績を残してきた。その行動と実践を支えたのが「聴くこと=受容の姿勢と共感的理解」である。「聴く」ことによってあらゆる人が成長し、自立していく。著者はこれを「聴育」と名づけた。聴くことを多くの人が実践すれば福祉は文化へと昇華し、みんなの幸せにつながるという。

2008年 財団報「新時代 New Way of Life」より