読んでみた

認知症の医療とケア

藤本直規著、2200円+税(クリエイツかもがわ)

 認知症の本人が本を書き、プログを立ち上げ、テレビに出演し、社会参加をする時代である。まさに「認知症新時代」と呼ぶにふさわしい。しかしながら、認知症と診断された本人は、病気への戸惑い、不安を抱え、病気と向き合いながら日々、真剣に生きている。著者が滋賀県守山市に「もの忘れクリニック」を開設して以来、10年を迎える。その間、外来診療から往診、外来リハビリ、デイケア、本人・家族交流会、地域連携まで様々な取り組みを続けてきた。その中から、若年・軽度認知症の人が仲間と助け合いながら社会参加をめざす自主的な専用デイサービス「もの忘れカフェ」を立ち上げた。本書は、「認知症になったことはあきらめても、これからの人生はあきらめない」と果敢に人生に挑戦する患者さんと、それを支えた著者、スタッフ、家族の感動の実践記録である。 

財団報「新時代 New Way of Life」53号より