読んでみた

認知症の本

三宅 貴夫、堀内 園子、内田 勝也 著/1700円+税/岩波書店

 30年間、認知症に取り組んできた医師、グループホームを運営しながら看護の立場で認知症の人と接する実践・研究者、アルツハイマー病の妻を在宅で介護してきた家族。異なる立場の3人が、「変化に気づく」「病院にいく」「治療やケアを始める」という流れに沿って、その時々に求められる専門的知識から具体的な介護の方法、体験までをやさしく語る。

 おかしいと感じた時、家族が相談できる窓口の一覧表や、受診時に行われる検査の内容、認知症症状の改善・緩和に役立つ各種療法、排泄で困った時に使えるアイデアなど役立つ情報がコンパクトにまとめられている。

 認知症の当人はもちろん、孤立しがちな家族を支えていこうという視点からの助言は、きっと当事者の心に届くに違いない。

財団報「新時代 New Way of Life」62号より