読んでみた

認知症

池田学著/740円+税/中央公論新社

 認知症は治療と介護のどちらも早期発見と病気の正しい知識が重要といわれる。本書は全国で臨床体験を積み、治療と介護の双方に精通した著者がアルツハイマーなど主な病気の特徴を分かりやすく解説し、治療とケアのポイントを紹介している。

 たとえば、認知症の早期診断と老年期うつ病との見分けは初期の段階では極めて重要だ。最初に診断を間違えると、「ボタンを掛け違えたまま、何年間も患者さんや家族は戸惑い続けることになりますし、介護の専門家も誤った情報を基に介護のプランを立てていくことになってしまいます」(本書「はじめに」より)という。

 読み終わると、本書の分かりやすさは著者が各地を回り大学の師匠や患者さん、家族、介護スタッフらと接することで培われたものであることに思い至るだろう。

財団報「新時代 New Way of Life」64号より