読んでみた

認知症とともに 家族が認知症になったら

藤本直規・奥村典子監修、朝日新聞厚生文化事業団編/1300円+税/クリエイツかもがわ

 認知症の本は多いが、本書は多くの人が直面する可能性の高い場面を想定し、物語仕立てで構成されているところがユニークだ。

 たとえば帰省した息子を迎えた母。きれい好きだったのに部屋は散らかり冷蔵庫も同じ食品ばかり入っている。異変の始まりだ。

 ここで日常生活や仕事の場面でのチェックリストが並ぶ。「探し物が増える」「味付けが変わる」「段取が悪くなる」。実は本人も気づいていて不安を感じていることが多い。「自分の頭はおかしくないか…」。実際に発せられるだろう本人の言葉が紹介される。

 受診する場面では、専門医のリストの入手方法や、「ポイント」として受診を嫌がる場合の対応策も紹介している。この本を読んで前向きの生活をかなえてほしいというのが本書の願いだ。

2012年 財団報「新時代 New Way of Life」より