コラム「母を撮る」

「毎アル」友の会発足

関口祐加 映画監督

「毎アル」友の会の会員証
両手で握手する母=(C)NY GALS FILMS 2016

 「毎日がアルツハイマー」シリーズが、2012年に公開されて以来、本当に全国津々浦々おうかがいし、色々な方とお会いする機会を得ました。この3月には、初めて九州の地に足を踏み入れ、「毎アル2」の上映後、いつものように講演をさせていただきました。今回は文字や画像に動きを入れて聴衆の皆さんに効果的に伝えるパワーポイント・アニメーションを作成し、楽しめる講演を目指しました。

 また、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を利用して、まず、バーチャル(仮想的)の世界で出会い、つながり、それから実際に上映会や私の講演に来てくださってお会いするという2度の出会いの喜びを経験しています。文通をしていて初めて会う喜びのような感じでしょうか。

 そんな中で、自然と考え始めたことがあります。それは、今後は映画上映や講演だけではなく、認知症やケアについて近い距離で語りあえるような機会があったらいいな、ということです。上映会場に来てくださっても、なかなか個人的にお話ができず、心苦しく思っていたということもあります。そのことを鑑みて、この度『「毎アル」友の会』を起ち上げました! 入会金は、500円一回きりで、年会費は、ありません。

 入会していただけると、新作「毎アル ザ・ファイナル」 を優待価格でご鑑賞いただいたり、友の会主催のイベントにも優待価格でご参加できます。また、何よりも会員の方達との「茶話会」を通して、全国にうかがい親睦を深めたいと考えています。認知症やケアに関心をお持ちの方であればどなたでもご入会いただけます。詳細は、下記事務局までお問い合わせください。

<「毎アル」友の会>

 〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-19-603
電話:090・6187・7110 FAX:03・6730・9652
email:maiaru@regard-films.com

 ところで、肝心の母は『「毎アル」友の会』の可愛らしい会員証に大喜び! 事務局から特別会員にしてもらいました。「茶話会」が開催され、近場だったら行っちゃおうかなと大張り切りです。どうなっちゃうんでしょうか。何たって2014年の「毎アル2」の横浜公開時には、劇場まで出向き、ファンの方々と握手をしたという経緯がありますから。

 つくづく思うのは、母は、認知症のプラスの能力(?)を発揮し続けているということです。嫌なことは、ドンドン忘れ、気取ることをやめ、瞬間瞬間の自分を精一杯正直に表現する。「自分は小心者だったのに、剛胆なふりをして生きてきた」と言ったのには、本当に驚きました。今年86歳になりますが、ますます気楽になっていく母を熱烈に応援し続けたいと思います。そんなことを『「毎アル」友の会』でもお話できたら、と考えています。

2016年4月