コラム「母をみとる」

ファースト・コンタクト

 自分の連れ合いや、親がおかしい・・・最初の気づきは、それぞれかと思いますが、共通しているのは、「いつもとどこかが違う」という直感のようなものでしょうか。記憶の部分で言えば、何回も何回も同じことを繰り返して言う。感情面では、起伏が激しくなり、怒りっぽくなる。行動面では、ひとりで出かけて帰ってこられない。我々から見れば<問題行動>ということになるかと思います。

 私の母の場合は、何回も書いていますが、2009年の母の79歳の誕生日とその3カ月後のエピソードによって、医師に行く前に母の認知症を確信しました。母は、家族に祝ってもらった誕生日の記憶が、エピソードごと全て落ち、その3カ月後には、クリスマスケーキのことを忘れ、その忘れたことに対して、本人が恐怖感を覚えるというまさしく認知症初期の症状でした。このように<認知症ではないか>と介護者が確信させられるエピソードは、多いのではないでしょうか。

 そして、この確信の後に来る不安。この不安は、とてつもなく大きくて、独りで対処できるものではありません。本人と一緒に行かなければ意味がない医療機関よりもまず、できることがあります。いえ、介護者としてしなければならないことがあります。

 私は、地元の地域包括センターへ飛び込みで行きました。そこで、後に「毎日がアルツハイマー」(12年公開)にも出演していただいた素晴らしいケア・マネジャーと出会い、母のことをじっくりと相談することができたのです。正直に書けば、母のこともさることながら、私自身の不安や疑問を解消する相談だったと思います。

 このように介護者と第三者との接点は、思っている以上に重要です。介護の早い時期から第三者の目を持つこと。介護者と介護される者だけの密閉状態にせず、風穴を開けましょう。そのことが、介護者を煮詰まらせないことになると思います。

 そのために必要なことは、誰かに相談することではないでしょうか? 私の場合は、直接地域包括センターへ出向きましたが、もっと簡単な方法があります。

 電話相談です!

 この連載コラムを書かせていただいている公益財団法人認知症予防財団では、1992年より、無料の電話相談「認知症110番」(0120・65・4874)を開設しています。どうぞこちらへご相談ください。

2021年12月