コラム「母をみとる」

リモート講演会

©NY GALS FILMS

 まずは、「認知症110番」存続に向けたクラウドファンディングの成功を心よりお祝いを申し上げます。また、その一環として私のリモート講演会を開催して頂きましたことにも感謝申し上げます。

 今回は、リモート講演会のことを報告させてください。2月7日午後4時より1時間のうち40分ほどお話をさせて頂き、残りの時間は、質問に応えさせて頂きました。題して『10年に亘(わた)る母の認知症介護から見えてきたもの』。

 10年間と一口に言いますが、やはり長い時間ではあります。振り返ってみて初めてあっという間ということが言えるかと思います。この10年間の時間の中で、私なりに認知症介護について学習し、母の介護に役立てたことがあります。まず3本の柱です。

 ①認知症に対して絶望をしないこと

 ②助けを外部に求めること

 ③認知症本人に合った介護チームを作ること

 ①は、最初の大きな関門と言えるでしょう。世の中は、認知症に関してあまりにもネガティブな情報で溢(あふ)れ返っているからです。これは、残念ながら私が母の介護を始めた頃と変わっていません。では、私は、どう切り抜けたのか。意外と簡単です。認知症という色眼鏡を使わずに、目の前にいる母を人として見て、対応したのです。認知症になった母は、なる以前より、本音が見えて魅力的だとさえ思いました。こういう<ものの見方>は、助けになるものです。

 ②は、早い段階で助けを求めることと、何よりも介護保険につなげることが、重要でした。とにかく1人では抱え込まない。ここでの障害は、自分1人では大変であるということをオープンにすることができるかどうか。下手なプライドを捨てられるかどうかなのです。できないことを認める。このことが、ゆくゆくは、介護者のみならず、介護される本人も救済されることになるかと思います。

 ①と②を踏まえた上で、実質的にしなければならないのが、㈫です。ここでさえ、一筋縄ではいきません。心身ともに変わっていく母に対して、理想は同じ介護チームで対応ができたらよかったのですが、高度な介護のスキルを持ったプロは少なく、私は<オーディション>と呼んで、介護する側の人材選びを続けなければなりませんでした。

 実は、一番大切なのは、介護のよりどころとなる<コンセプト>を知っているかどうかです。私にとっては、それは、パーソン・センタード・ケアでした。いつも母本人が見ている景色から、母にとってのニーズを探り、それを介護に反映させる。ですから母が、自分で死に場所を自宅の自室であると決めた時にも、もちろん尊重しましたよ。

 <後悔しない認知症介護>は、可能です。

 今回リモート講演会をして頂き、質疑応答も可能ですし、とても楽しかったです!そして、実際に伺って講演をすることが難しければ、ぜひリモートでお話できれば、と改めて思いました。よろしかったらリモート講演会について「毎アル」友の会事務局までご連絡を頂ければと思います。メールは 電話は090-6187-7110 ファクスなら03-6730-9652までお願いします。

2022年2月