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仙台シンポ 質疑応答

 鈴木 質疑応答のコーナーです。皆様の質問は参加申し込みの時受けつけたものと、今日会場で受けつけたものから選びました。1番目の質問は、認知症の初期症状ではないと心配です。これ以上進行しないようにする方策があれば教えて欲しい。

 目黒 自分で自覚があるからといって認知症の初期かどうかはわからない。専門医に正しく受診してもらってください。一緒に住んでいる人がどのように観察しているかが大事なので、同居者と一緒に受診するのがいい。認知症の人は「病態失認」といって自覚のある場合が少ない。むしろ自覚のない方が問題のケースが多い。

 鈴木 次の質問です。夫は2年前から認知症の症状が出始め、段々ひどくなっている。診断を受けたこともなく、介護保険の申請もしたことがない。夫は医者に行くのもデイサービスに行くのも極端に嫌がる。何とかしたいのだが。

 山崎 受診を拒む理由は二つある。一つは認知症という病気への不安から来る拒否反応。もう一つは、脳の病気は自分の障害に無関心になるからだ。本人が受診したがらない時は家族だけの受診でも構わない。説得より納得、と言うが、「認知症を診てもらおう」という必要はない。例えば「ちょっと検診に行こう」とか、夫を受診させたい場合、奥さんが「私の受診に付いてきて」と言って、夫の受診に結びつくこともある。行政に相談すると、訪問診療をしているところもある。

 鈴木 次は、何の前触れもなく急に認知症になることがあるか。

 目黒 アルツハイマー病は徐々にに進行していくので、気づいてみれば、そういえば2年前からおかしかった、となる。何月何日から突然おかしくなったという場合はほぼ脳梗塞によるものだ。手足が動いても脳のある血管が詰まると認知症症状をきたすので詳しく調べてもらうことだ。

 鈴木 デイケアに週3回通っている母に夫が怒鳴ってしまう。「わかっているけれど我慢できない。自分の方が気に変になる」と言う。心の中でわかっていても、家族はイライラ、バラバラになりそうだ。

 山崎 認知症のケアを家族だけでがんばろうというのは難しい。よく「家族より他人」と言う。家族は同じ事を何度も聞かれると「さっき言ったでしょう」と、つい言ってしまう。認知症ケアではウソも方便で、演技が必要だ。物を置いた場所を忘れて探していても、今見つけたふりをして「そこにあるよ」と言えば丸く収まる。こういう演技は家族同士ではしらじらしくてできない。他人、つまり介護サービスをうまく利用しながら、家族がしっかりしなければならないところはやって、分担するのが大切だ。割り切り上手は介護上手である。

爆笑の連続
 講演の合間に行われた東方落語の真打、川野目亭南天さんの東北弁による落語は、爆笑の連続。もともと地元のテレビやラジオでパーソナリティーを務めるだけあって、話術は得意な上に、明るく愛嬌のあるキャラクターで語るおはなしは、すーっと聴衆の心のひだに入っていくようだった。東北弁が分からなくても笑いを堪能できる至福の時間。

2011年2月