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高齢者ドライバーと認知症

こんな動作が現れたら注意
車庫入れが困難に 道に迷いやすく
キー置き場忘れる 中央走りづらく

 高齢者の増加とともに、高齢者が事故に巻き込まれたり運転操作を誤って事故を起こすケースが目立っている。中でも認知症の高齢者ドライバーによる高速道路の逆走などは社会に衝撃を与えた。この問題を考えるシンポジウムや交通安全教室なども各地で開かれ始めている。

 年をとれば誰でも運動能力が衰え、運転する感覚も以前とは違ってきたことを自覚することだろう。しかしそれが認知症のせいだとはなかなか思わないし、仮に疑ってもそうは思いたくないはずだ。

 高齢者ドライバーと認知症の関係について詳しい鳥取大学医学部の浦上克哉教授は「認知症は怖くない2」(JAF MATE社)で、「認知症の可能性がある運転の変化」と題して「タイプ別」と「重症度別」に認知症かどうか見分ける表を作成している。

 アルツハイマー型の場合は車をぶつけたりこすることが増え、車庫入れがしにくくなるのもチェックのポイント。レビー小体型は駐車スペースにまっすぐいれたつもりでも曲がることが増える。また前頭側頭型では赤信号を無視するなど交通ルールを守らなくなるという。

 一方、車のキーの置き場所を忘れるようになったり、走ったことのあるルートでも迷うことがあるのは軽度の認知症の疑いがある。さらに前進とバックのAT操作を間違え壁にぶつかる▽ウインカーの操作で左右を間違える▽ワイパーやライトのスイッチの使い方が分からなくなった▽目的地までのルートを思い出せない▽右に寄ったり左に寄ったりして、道路の中央を走れなくなった--などは中等度以上の認知症の疑いがあるという。

 本人が専門医に行きたがらなければ家族が説得するしかないが、そんなときに利用すると効果的な道具としてドライブレコーダーを勧めている。

 運転中や事故が起きた時の映像を自動的に記録する装置で、「もらい事故が起きた時に付けておくと安心だから」と言えば、納得してもらえるという。この映像を一緒に見ながら、そろそろ卒業をと説得することを提案している。

 ただ都会のようにバスや地下鉄などの代替機関のあるところはいいが、他に手段のない地方では、運転をやめさせれば家に引きこもりとなり、さらに認知症が進む可能性も高い。地域全体の取り組みが求められてきそうだ。

 交通死亡事故が全国ワースト3位(昨年7月9日現在)の千葉県では「認知症の基礎知識と運転への影響」と題したシンポジウムと高齢者の交通安全教室を開催する。教室の方は同県大多喜町の町民が対象だが3月20日は浦上教授の基調講演とパネルディスカッション、本財団相談員による認知症相談コーナーも開設される。定員300人で無料。応募の締め切りは同11日。問い合わせは「ちばテレビメディアネット」043・207・3033。

 本財団主催で浦上克哉教授を講師とする認知症シンポジウムは7月19日に富山のボルファートとやまでも開催。詳細は後日、財団の機関紙「新時代」やホームページ等でお知らせする。

2013年3月