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認知症電話相談1万9000件 データベース化へ

ガイド本作りに活用

「認知症110番」には、さまざまな相談が寄せられる。

 認知症予防財団は事業の柱の一つである無料の電話相談「認知症110番」に寄せられた1万9000件を超える相談記録をデータベース化して管理する事業に乗り出す。現在は紙の記録票がデジタル化されることで、相談業務が今まで以上にきめ細かくなることが期待されるほか、データを統計分析して各種の報告書や読みやすいガイドブックを刊行し、認知症の予防や介護に役立ててもらう。

 認知症110番(毎週月、木曜午前10時〜午後3時)は1992年にアフラックの協力を得てスタートし、今年の2月に累計で1万9000件に達した。現在は相談内容をB4判の紙の記録票に手書きして保管しているが、かなりのスペースを必要とするほか、相談者が過去に相談しているケースでは、相談員が家族関係や相談内容を確認するため以前の記録票を探し出すのに手間取ることがある。

 記録票をデジタル化しサーバーに保管してデータベースを構築することで、相談員は過去の記録票を見ながら、現在の状況をじっくり聞いて相談に乗ることができる。

 また財団では統計分析法検討委員会をつくり、相談内容の傾向や変化をつかみ出し、適宜報告書にまとめるほか、若者がなじんだネットの「よくある質問」「ベストアンサー」の手法を活用し、中高年向けに「上手な質問・回答法」のコンパクトなガイドブックを作成する。

 これらの事業には1300万円ほどの初年度経費が見込まれるが、補助金の交付や財団の認知症予防事業積立金2000万円を取り崩して事業資金に充てる。

 認知症110番には「認知症の疑いのある父親が、病院に行きたがらない」「私は認知症ですか」「この薬を飲み続けても大丈夫ですか」といった相談が毎回多数寄せられている。財団では相談業務やガイドブック等の発行を通じて認知症の予防、ケアの最新情報を伝えていく。

2013年4月