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「95歳。今日をたのしく。もっと前向きに」

吉沢久子さんが新刊

 本来は最終ページの「ほん」のコーナーでご紹介すべきところだが、すでに3冊分の紹介文を書いた後に飛び込んできたこの1冊「95歳。今日をたのしく。もっと前向きに」。手に取った瞬間、表紙に写っている著者吉沢久子さんのすてきな笑顔に引き寄せられ、次号(8月1日号)まではとても待てない心境に。表紙はもとより、大きな活字で紹介されるその折々の心境をつづった文章は、95歳とは思えない可愛らしさ(失礼!)と好奇心、気迫に満ち満ちていて、読み進めて行くのが楽しくなる1冊。

 たとえば本の帯にあるこのような文章。「年を重ねるにつれて、からだにも心にも、自分で信じられないような変化が起こってくることを、この頃とみに感じる。これから年を重ねていく方々に、少し先を歩いている私は、自分の変化を正直に書いておきたいと思っている」

 冷静に自身を観察しているだけでなく、それを正直に表現していく気力と表現力を持たれていることがよく分かる。

 毎年刊行されている年齢シリーズの最新刊は、これまで通り、年齢を重ねても、ひとり暮らしでも、元気に楽しく生きるための心の持ち方のヒントがいっぱい。食いしん坊ならではの旬の食材を生かした料理の話も楽しい。

 また、もし転倒して利き腕の右手を骨折したら困るだろうからと、左手が自由に使えるよう練習を始めるという話も、精神のしなやかさと好奇心の強さがうかがえる。

 ページを繰るごとに、暮らしを楽しむ著者の生き方が伝わってきて、こちらも心が浮き浮きしてくるように感じる。

 海竜社発行、1400円+税。

2013年6月