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「認知症予防10カ条」や「認知症110番」

自治体、企業通じ 情報転載に協力

自治体の健康ハンドブックなどに転載された「認知症予防10カ条」など

 認知症の特集記事が新聞や雑誌で掲載されたり、テレビのトップニュースで報道されるなど、このところ認知症に関する話題が増えている。フリーコールの電話相談「認知症110番」を開設している認知症予防財団への家族からの相談件数も数年前とは比較にならないほど増えているが、同時に財団への取材依頼や財団情報転載の許諾を求める電話も増えている。中でも目立つのは財団が提唱している「認知症予防10カ条」や「認知症110番」情報を転載させてほしいという依頼の電話。認知症の予防や治療、介護等の最新情報を分かりやすく発信することを使命とする本財団は、この目的に合えば転載の求めに応じることにしている。

 寄せられる電話で多いのは、各自治体が発行する高齢者向けの健康ハンドブックやしおりなどで、医療、介護保険、健康づくりなどの情報と一緒に電話相談の窓口として「認知症110番」も掲載されている。平均、30〜40ページ。北九州市のように1冊丸ごと認知症のハンドブックという自治体もある。

 自治体以外では大手企業の福利厚生事業として介護ハンドブックを社員に持たせる会社も増えている。その中に財団の紹介とホームページのURLも掲載されている。

 財団のホームページをネットで見つけて「認知症予防10カ条」の存在を知り、転載の許可を求めてくる電話も、最近急増中だ。

 10カ条は1997年に認知症の専門家8人が「声に出して覚えやすく」を心掛けて選定した「ぼけ予防10カ条」が始まり。その後「介護10カ条」「介護家族の接し方10カ条」を選定してシリーズ化し、2010年には当初からの「分かりやすく」を生かしつつ、最新の研究事例を反映させて1冊にまとめた「認知症30カ条」が岩波書店のブックレットとして発行され好評を得ている。

 財団ではブックレットを勧めているが、1ページにまとめて標語のように仲間と覚えたい、広めたいという声には、出典を明示した印刷物を事前に送っていただくことを条件に転載を認めている。また印刷物の1部送付(ネットの場合はアドレスの連絡)をお願いしている。

 問い合わせは自治体、介護事業者、健康サークル等からのものが大半で、神戸市長田区のように地域に「長田区地域と進める認知症早期発見システム構築検討会」を作るなど日ごろから認知症対策に熱心な自治体では、10カ条にそれぞれコメントを加えてより親しみやすく覚えることができるよう工夫を凝らすなど徹底している。

 このほか認知症のセミナー開催に向けて講師の派遣や、ホームページへのバナー貼り付け、イベントの後援依頼、さらに認知症一般や財団自体への取材も相次いでいる。こちらも時間の許す限り協力している。

2014年6月