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「毎日がアルツハイマー2」 7月19日 東京で公開

「毎日がアルツハイマー2」のポスター

 認知症の暗いイメージを変え、日本中に笑いと涙の渦を巻き起こした「毎日がアルツハイマー」。その続編が7月19日から東京のポレポレ東中野をはじめ全国で順次公開される。

 題して「毎日がアルツハイマー2〜関口監督、イギリスへ行く編」。関口祐加監督が認知症の人を尊重するケアとして知られる「パーソン・センタード・ケア」の発祥の地であるイギリスに飛び、その理論から実践までを紹介する。

 その様子の一部は本サイトに連載中の監督の人気コラム「母を撮る」でも触れているが、そもそもイギリスにまで撮影に行こうと監督が思い立った理由は、母親宏子さんの認知症(アルツハイマー)がセカンドステージに入り、今後に備えてもっと本格的に認知症ケアの勉強をしておきたいという欲求が膨らんできたことが挙げられる。

 画面にも出てくる認知症ケア・アカデミー施設長のヒューゴ・デ・ウァール博士によれば、認知症という病名は同じでも、必要なケアは一人ひとり全く異なるという。なぜならば認知症の人の認知機能の状態や健康状態、個人史(趣味、職歴)、性格、社会心理学(周囲の人間関係)は一人ひとり違うため、その人らしさを尊重しその人の視点や立場に立って理解しないと適切なケアは引き出せないからだ。

 映画の中でも、イギリスのケア・ホームで暮らす女性が夕方になると動揺するケースでスタッフはその人の背景を探り出してふさわしい対応を見つけていく姿が感動的に紹介されている。

 監督自身も参加した認知症ケア・アカデミーのコースでメアリー・オルドリッジ講師は「認知症介護は高度な技術なのです」と説明し、同博士も「ここでは簡単に抗精神病薬は使わない」と話す。

 一方イギリス取材を経た関口監督は「パーソン・センタード・ケアは母と向き合う力になります」と手ごたえがあった様子だ。

 「毎日がアルツハイマー」で医学監修をした新井平伊順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授は前作に続いて画面に登場し、宏子さんの現状を解説しているほか、泣いて、笑って、また笑ってという映画の基本コンセプトも引き継がれている。また頭の回転だけでなくかるた遊びでの手さばきも鮮やかな宏子さんや、その母親にユーモアたっぷりに対応している監督の様子も必見だ。

 映画は51分。

2014年6月