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上映運動 各地で活発に

 認知症の人の出てくる映画を本人と家族が一緒に見ることができたら--。こんなアイデアが近く実現しそうだ。

 東京の西多摩医療圏(8市町村、人口40万人)認知症疾患医療センター青梅成木台病院の医療・介護連携協議会で認知症の人の出てくる映画が話題に上った。すぐに反応を示したのは、ある自治体の高齢介護課スタッフ。定期開催に向けて打ち合わせを行うなど、実現間近と思われたが、準備不足もあってか、突然のペースダウン。しかしこの計画に全面賛成の家族の会の一人は、「必ず開催にこぎ着けます」と上映運動への意欲を熱く語る。

 一方、同協議会に参加する「あきる野市五日市はつらつセンター」(地域包括支援センター)では6月20日午前10時から同市秋川ふれあいセンターふれあいホールで無料の上映会を開催する。作品は2013年の「キネマ旬報ベスト・テン」で日本映画の1位に輝いた「ペコロスの母に会いに行く」(森崎東監督)。

 岡野雄一さんの介護日誌コミック「ペコロスの母に会いに行く」「ペコロスの玉手箱」を原作に、故郷の長崎に戻った主人公ゆういちと、グループホームで暮らす85歳の認知症の母みつえさんの日常を心温まるタッチで描く。

 この映画を医学監修した新井平伊順天堂大学大学院教授もお勧めする作品だ。

 上映に関わっているスタッフは「認知症の人の気持ちを理解し、町で認知症の方が普通に暮らせることが目標です」と話す。

 定員240人で、認知症家族の集い(家族会)のPRも兼ねて行う。申し込みは先着順で、五日市はつらつセンター(電話042・569・8108)へ。

 同作品や関口祐加監督の「毎日がアルツハイマー」「毎アル2」などは正規の公開が終わった後も、各地で自主上映会が開かれるなど市民主体の上映運動は活発化しており、認知症の人と家族の気持ちを理解して行く機会は今後も増えそうだ。

2015年6月