災害時のケア 国際的な指針策定へ

 世界各地で大規模な自然災害が相次ぐ中、被災した認知症の人のケアが課題になっている。今会議でも「認知症と災害」が主要テーマの一つになり、国際患者団体連合の元議長、フセイン・ジャフリさんはADIが今年末までに、災害時の認知症の人への対応などについて、国際的なガイドラインを策定すると明らかにした。

 ジャフリさんは母国で発生した2005年のパキスタン地震や10年の大洪水で、「高齢者が支援を受けられず、無視されている」と感じたという。特に認知症患者は、家を失うなど環境の変化に敏感で、症状が極度に悪化した。そこでパキスタンや日本、インドネシア、中国など、近年、大災害に見舞われた各国が中心となり、ADIのもとで議論を開始。災害時に連携する機関や、ケアの方法などを明確化したガイドラインを作成中という。

 日本でも東日本大震災で問題が顕著に。「認知症の人と家族の会」福島県支部の星節子さんは、80代の認知症の女性が、避難先で近所の人を捜そうとして別人の家に入ってしまい、孤立を深めた事例を紹介。「支援が行き届いていない認知症の人がたくさんいる」と訴えた。

 震災直後から仙台市内の病院に入った東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一・研究部長も現地調査の結果を報告。「災害後の環境変化で、徘徊(はいかい)などのBPSD(周辺症状)が悪化し、本人も家族も負担が高まっていた」などと話した。

 粟田部長は災害に備えるため、平時から顔の見える支援体制を築いておく▽地域の医療機関が精神症状を伴う急性期医療に対応できるようにする▽認知症に対応した福祉避難所を整備する▽緊急時の支援計画を地域の防災計画に含める−−ことを提言した。

2017年6月