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長谷川和夫さん死去/認知症医療の第一人者 92歳

 日本の認知症医療の第一人者で、2017年に自ら認知症になったことを公表した精神科医の長谷川和夫(はせがわ・かずお)さんが21年11月13日の午後11時47分、老衰のため東京都内の病院で死去した。92歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻瑞子(みづこ)さん。

 愛知県出身。1953年、東京慈恵会医科大卒。73年聖マリアンナ医科大学教授、同大学学長、理事長などを経て社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京ーセンター長を務めた。74年に認知症の早期発見につながる検査法「長谷川式簡易知能評価スケール」を発表。認知症の人を中心に寄り添う介護「パーソン・センタード・ケア」の普及に尽力した。

 90年の認知症予防財団発足時(当時は「ぼけ予防協会」)から18年まで、財団評議員を務めた。18年3月の臨時評議員会では、「私、実は認知症になりましてね」と語り始め、「嗜銀顆粒性認知症」と診断されたことを告げた。その際、長谷川式スケールについて「僕が作って答えを暗記しちゃってるから役に立たないんです」とユーモアを交えて話し、「普通の人の物忘れと(認知症は)近接している。行ったり来たりしているみたいです」と明かしたうえで、日本の認知症研究の成果をアジア各国に伝えていく夢を語っていた。

2021年12月