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「健脳カフェ」認知症リスクを早期発見、予防/「先制医療」の拠点に

 今春、東京・四谷(新宿区左門町)に開設された認知症予防カフェ「健脳カフェ」のメディア説明会が7月にあった。日本初の試みとしてカフェを開き、監修も手がける新井平伊・アルツクリニック東京院長(順天堂大名誉教授)は、「ここを拠点に、認知症リスクのある人を早く見つけて予防していく『先制医療』を完成させたい」と決意を語った。

 健脳カフェは、日本で普及している通常の認知症カフェとは次の4点で一線を画す。①専門医が常駐②認知症になる前のSCD(自分では感じる主観的な認知機能低下)やMCI(軽度認知障害)の人の発症を遅らせる「二次予防」中心③予防プログラムの効果を検証し、エビデンス(根拠)を発信④幅広い産学官の連携--で、いずれも一般のカフェではハードルが高いことに取り組んでいる。

 アルツハイマー病(AD)は、20年程度かけて脳内に沈着する異常たんぱく質、アミロイドβ(Aβ)が脳神経細胞を壊し始めることで発症する、との仮説が最有力だ。新井院長は2019年、アルツクリニック東京(東京都千代田区)に、脳内のAβを微少でも発見できるPET(陽電子放出断層撮影)を活用した「健脳ドック」を開設し、認知症の早期診断・早期治療に力を入れてきた。

 ただ、ADの予兆が見つかっても、日常生活の中でどう予防すればいいのか分からず途方に暮れる人は少なくない。「早期発見・早期絶望」と言われる、こうした認知症を巡る状況を解消し、発症を遅らせたりリスクを下げたりする先制医療的な取り組みの拠点として、四谷にある同クリニックPETラボ(新井礼子院長)内に健脳カフェをつくることにした。

 具体的には、専門医の新井礼子院長が指導する絵画教室などのほか、認知症予防活動に熱心な団体・企業が「運動」や「栄養」などのプログラムを提供している。上智大学総合人間科学部心理学科の学生による認知リハビリテーション、心理療法を応用した「心理プログラム」や、認知症の人と家族の会東京都支部による相談会なども実施している。

 健脳カフェのオープン日時は、月~金曜の午前10時~12時半(午前の部)と午後2時~4時半(午後の部)。予約不要で、費用は1人1500円(2時間半)。具体的なプログラムは次の通り。

 ◇「絵画教室」(講師は新井礼子院長)
毎週月、水曜日 午後の部

 ◇「運動教室/ラクティブ」(提供・生涯社会推進機構/東急スポーツオアシス)
毎週月、木、金曜日 午前の部

 ◇「栄養教室/健幸サポート栄養士セミナー」(提供・40代からの認知症リスク低減機構/森永乳業)
第1・第3水曜日 午前の部

 また、音楽健康指導士による音楽を生かした脳機能と身体機能維持・向上のためのプログラム(提供・日本音楽健康協会/第一興商)なども提供していく。

 このほか、新井平伊院長による「カウンセリング相談室」(有料・要予約)などの外来も受け付けている。詳しい問い合わせは070・1067・3512へ。

2021年8月