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健脳カフェ ネットで配信
認知症予防プログラム 好きな時間に自宅でも

 アルツクリニック東京(院長・新井平伊順天堂大名誉教授、認知症予防財団会長)が監修する東京・四谷(左門町)の認知症予防カフェ「健脳カフェ」は、認知症予防を軸としたプログラムを配信する「オンライン健脳カフェ」をスタートさせた。会員を全国に広め、ゆくゆくは参加する人たちの認知症発症を5歳遅らせることを目標としている。

 健脳カフェは2021年4月にオープンした。認知症の人や家族らが通う従来型の認知症カフェと違い、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の人、物忘れが気になり始めた人たちを主な対象として、2次予防(発症を遅らせる)、3次予防(進行を遅らせる)に力を入れている。専門医による監修の下、効果が見込まれる体操や対人型ゲーム、絵画などさまざまな教室に参加でき、福岡や島根など遠方から訪れる会員もいる。

 それでも「対面」での活動だけでは広がりに限りがある。そこで新井氏はネットを通じてプログラムをオンラインで配信し、自宅などで好きな時間に参加できる会員を全国から募ることにした。個人はもちろん、自治体や介護施設など法人の参加も見込んでいる。

 プログラムには、脳と体によい運動に取り組む「健脳体操教室」や二つのことを同時に行う運動に挑戦する「シナプソロジー教室」、認知機能と関わりの深い食事を学べる「栄養教室」、うたと音楽を活用した「音健教室」などがある。

 事前に制作された映像を流すだけでなく、毎週金曜午前には健脳体操教室や新井氏の講話などをライブ配信する。新井氏はオンラインで質問を受け付け、その場で回答する。

 プログラムはいずれも「共生と予防」をうたう政府の認知症施策推進大綱に合致した内容で、自治体の介護予防「地域支援事業」のメニューとしても活用できるとしている。

 年会費(税別)は個人会員が1万円、法人会員は24万円(視聴者20人以下)と60万円(同21人以上)、自治体は一律120万円(全住民が視聴可)。定額ですべてのプログラムに参加できるほか、法人会員は健脳カフェの趣旨に沿っている内容なら自ら動画を制作し、発信することも可能だ。

 認知症の人は年齢が上がるにつれて5歳刻みで2倍ずつ増えていき、85歳以上は55・5%に症状がある。しかしその一方で、発症を5年遅らせることができれば患者を半減できると指摘されている。

 新井氏は認知症の前段階から治療的に介入する「先制医療」をライフワークとしている。認知症予防について助言・指導できる「健脳指導士」などの新たな資格創設も主導しており、「資格を持つ人と予防活動を実践できる場を確保して最終的には認知症の人を半減させたい」と話している。

オンライン健脳カフェの詳細及び法人会員の入会申込み先
https://alz.tokyo/kennocafe-online/

個人会員の入会申込み先
https://v2.nex-pro.com/campaign/49140/apply

2022年12月