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アルツハイマー病新薬レカネマブ エーザイが国に承認申請

 国内製薬大手エーザイは、米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病(AD)の新薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)の製造販売の承認を厚生労働省に申請した。同省はレカネマブを承認までの期間を短縮できる「優先審査品目」に指定しており、早ければ年内に承認する見通しだ。

 ADは異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が脳内にたまって神経細胞を壊すことが原因とされる。レカネマブはAβを除去することで病気の進行を抑えることを狙った薬だ。

 エーザイはADになる前の軽度認知障害(MCI)の人や早期のAD患者を対象に1年半にわたって臨床試験を実施。2週間に1回レカネマブを投与された人は偽薬の投与を受けた人に比べて症状の悪化を27%抑えられたといい、エーザイは「進行を約7カ月半送らせることに相当する」と説明している。

 一方、副作用も報告され、投与された人の17・3%は脳に微少な出血が、12・6%には浮腫が見られた。それでも米食品医薬品局(FDA)は1月、治療薬として早期に実用化を図る迅速承認をしている。

 同社は米国での販売価格を1人あたり年2万6500ドル(約340万円)と発表しており、国内でも高額になるとみられる。症状が進んだ人には効果が見込めず、政府は投与可能な患者を絞り込む見通しだ。

 FDAは投与対象候補の患者に「アミロイドPET(陽電子放射断層撮影)」という特殊な画像検査か、背骨の間に針を刺す「脳脊髄(せきずい)液検査」を行い、Aβが脳内にたまっていることを調べるよう求めている。PET検査は数十万円と高額なうえ、設備を整えている医療機関はごく一部に過ぎない。またFDAは副作用の確認に、薬剤投与の前後に計4回のMRI(磁気共鳴画像化装置)検査を指示している。日本でも同様の条件となれば、治療を受けられる医療機関は当面限定的となりそうだ。

2023年2月