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39歳で若年性認知症 9年間の軌跡と再生/実話を映画化 今年初夏に全国公開

 若年性アルツハイマー型認知症(AD)の夫と妻が前向きに生きる姿を描いた邦画「オレンジ・ランプ」が今年の初夏に全国公開される。39歳の時に若年性ADと診断されながら、今も普段通りに過ごし、自らの経験を語る活動に力を入れている丹野智文さんが企画協力した。丹野さんの実話を基に、家族の9年間の軌跡と再生を描いている。

 和田正人さん演じる主人公の只野晃一は、カーディーラーのトップセールスマンとして働いていた。妻の真央(貫地谷しほりさん)、中2、小6の2人の娘と温かい家庭を築き、休日には趣味のフットサルに興じる充実した日々を過ごしていた。ところがある日から、お客様やスタッフの名前を忘れてしまうようになる。そして39歳で若年性ADと診断された。

 家族を抱えて不安に押しつぶされそうになる晃一は、日ごとに元気を失っていく。それがあることをきっかけに妻や本人の意識が変わっていき、職場や地域も巻き込んでいく−−。

 映画「ケアニン〜あなたで良かった〜」のシリーズで認知症・介護を取り上げてきた製作陣による最新作で、「村の写真集」「しあわせのかおり」などを手がけた三原光尋氏が監督を務めた。「認知症になっても安心して暮らせる社会」の実現につながることを目指しており、「日本認知症本人ワーキンググループ」や「認知症の人と家族の会」も全面協力している。

 「認知症になったら終わり」という偏見と対峙(たいじ)してきた丹野さんは、「この映画をとおして、認知症と診断されてからの葛藤や周りの人たちの関わりから認知症と診断されても笑顔で前向きに過ごすことができることを知ってもらえると思います」とのコメントを寄せている。

2023年3月