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認知症予防財団 音楽健康協会と相互協力

 認知症予防財団と、「うたと音楽」が持つ力の普及・啓発に取り組んでいる「日本音楽健康協会」(音健協、戸塚圭介理事長)は、相互に協力していくことで合意した。手始めとして双方が発信している情報を交換し、お互いの出版物などに記事を掲載しあうところからスタートさせる。

 音健協は第一興商が関係団体、企業の協力を得て2014年7月に設立した一般社団法人だ。「うたと音楽」は介護予防などにさまざまな形で取り入れられており、体操や運動をしながら歌うことは生活総合機能の維持や改善に効果があるとされている。

 昔好きだった歌を聞いたり、歌ったりすることは脳の活性化につながると言われている。仲間と一緒に歌うことは外出や人と接するきっかけにもなる。音楽の持つ力について英国の著名な認知症専門医、ヒューゴ・デ・ウアール氏は「音楽は脳の全体を活性化する。重度の認知症の方でさえ、音楽の記憶は他の記憶よりずっと残っている」と指摘している。

 音健協は社会課題の解決と豊かな未来の創造を目的としてさまざまなシーンで展開されている音楽活動を募集、表彰するコンテスト「音健アワード」(共催・毎日新聞社、後援・厚生労働省)を主催している。

 また、音楽に合わせて身体を動かし健康増進につなげることを指導する「音楽健康指導士」(累計約1万4000人)を認定する養成講座を開き、歌唱によって健康長寿に不可欠な口腔機能の維持、向上を図る「口腔(こうくう)機能指導員」も育成している。このほか、地域の健康とコミュニティーを支える地域の人材育成プロジェクトなども手がけている。

 音健協のこうした一連の活動は、認知症予防財団が目指す「豊かで明るい希望に満ちた長寿社会の実現」にも合致し、音健協との協業は本財団にとっても有意義であると判断した。まずは記事の交換といった限定的な協力から始めるものの、いずれは認知症予防に関する調査・研究や人材育成などの面でも力を合わせていきたいと考えている。

 音健協の戸塚理事長は「超高齢社会を迎えた日本国内において認知症は、大きな問題であることは言うまでもありません。当協会(日本音楽健康協会)は、認知症予防財団が掲げる『豊かで明るい希望に満ちた長寿社会の実現』に強く賛同し、『うたと音楽』を利活用し高齢者の生きがい創りに役立ててまいりたいと考えております」と話している。

2023年4月