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生涯健脳検定を共催〜認知症予防財団

生涯健脳相談士(初級)
サービス業の従事者など
認知症予防に関する適切なアドバイスができる


生涯健脳指導士(上級)
医療・介護従事者や行政職員など
認知症の2次、3次予防に関する指導ができる

 認知症予防財団は7月1日、一般社団法人・生涯健康社会推進機構、日本早期認知症学会と共催する形で認知症の2次、3次予防を推進するための資格検定制度「生涯健脳検定」の運営を始めた。資格は初級の「生涯健脳相談士」と上級の「生涯健脳指導士」の2種類で、検定は申し込みから1次試験まですべてオンラインでできる。認知症研究の第一人者で認知症予防財団会長の新井平伊・アルツクリニック東京院長(順天堂大名誉教授)が全面監修し、毎日新聞社が後援している。

 初級の生涯健脳相談士は、ドラッグストア、コンビニやスーパー、金融・保険業、住宅産業、宿泊業など、高齢の人と接する機会の多いサービス業の人や認知症予防に関心が高い人を対象としている。もの忘れが心配なお客さんなどから気軽に相談を受け、不安を和らげたり適切なアドバイスをしたりできる人材を増やしていく。

 上級の生涯健脳指導士は医療、介護、行政の専門職のほか、「相談士」からのステップアップを望む人が対象だ。「相談士」の役割に加え、認知症の発症を遅らせる2次予防、進行を遅らせる3次予防の実践的指導ができる人材を育成する。

 資格を取るには1次試験の前にWEBによる受講が必要。まずは「症状」「診断」「治療(薬物)」「治療(非薬物)」「ケア」「制度」の各講義(相談士各25分、指導士各30分)を受けたあと、選択問題の1次試験(40問)に臨む。講義と一次試験は別の日でもよく、どちらも好きな時間に受けられる。

 1次試験は正解6割以上で合格し、合格から3〜6カ月内に三つの事例リポートを提出する。このリポート提出が2次試験で、①どんな相談だったか②経過③相談をどう解釈したか㈬どのようなアドバイスをしたか——について、一事例につき、「相談士」は600字以内、「指導士」は800字以内で記す。

 受講・検定料は「相談士」が9900円、「指導士」が1万6500円で、合格者は認定料1万1000円が必要。3年ごとの更新料は「相談士」が5500円、「指導士」が1万1000円(金額はいずれも税込み)となっている。

 世界最速級で高齢化が進む日本では、2025年に65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されている。にもかかわらず、軽いもの忘れが気になったときに相談できる人材が不足しており、生涯健康社会推進機構は認知症予防財団と協議したうえで昨年9月に2次、3次予防に関する正しい知識を学んで相談に応じることができる資格検定制度を作った。

 認知症予防財団としては新制度創設時から検定に携わりたかったものの、公益財団法人であるため内閣府に変更認定申請をしたうえで資格の検定や付与ができるように定款を改める必要があった。申請の結果、時間は要したものの6月に認可を得て定款も変えたことから、検定制度を共催できるようになった。

 総監修の新井氏によると、認知症医療の主体は「発症後の治療」から「予防と発症前の介入」に移ってきており、2次予防を中心とした相談、指導に対応できる人材の育成が急がれるという。

 検定制度の詳細とお申し込みはhttps://shogaikenno.jp/aboutへ。

2023年6月