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オンラインイベント 俳優 山本學 老いを語る/前向きな生き方に「勇気」

 認知症予防財団と毎日新聞は12月1日、2022年に軽度認知障害(MCI)と診断された俳優の山本學氏(86)と、レビー小体型認知症で自らの幻視体験を公表している元図書館長の三橋昭氏(74)を招いたオンラインイベント「俳優・山本學 老いを語る」を開いた。年を重ねても前向きに生きる両氏の姿勢に、多くの視聴者から「勇気づけられた」といった声が寄せられた。

 2人の共通点は「幻視」。三橋氏が見るのは「ジョギングするヤギ」などユニークなものが多いのに対し、山本氏は図形が中心という。三橋氏は「見るのが楽しみ」と言い、山本氏も「脳の生理的な現象」「怖さは感じない」とキッパリ。「怖い」と思われがちな幻視に関し、司会の銭場裕司・毎日新聞社会部専門記者は「2人の話を聞くと幻視も冷静に見られるようになると思う」と話した。

 山本氏は認知症に対しても不安がらず「風邪とか盲腸と同じように捉え、自分を見つめなきゃ駄目」と強調した。「年を取れば機能が落ちてくるのは当たり前。努力しないといけない」と述べ、筋力トレーニングなどに取り組んでいることを明かした。自ら死期を悟り、死に向けて段取りをつけておく必要性にも触れた。

 三橋氏は「年齢は関係ない」と言い、認知症になりしがらみがなくても生きていけるようになったことを「自由を獲得している」と表現した。出版した幻視のイラスト本に関し「読んだ方の何かの役に立つかもしれないと引き受けた。役に立てるかもしれないというのはうれしく、そういう生き方をしていきたい」と語った。

 このほか山本氏は内科医役として出演した代表作「白い巨塔」について、外科役の田宮二郎氏と大病院で細かく指導を受けたことを振り返った。自信をつけた田宮氏から「盲腸の手術をしたい」と言われ、困った逸話を披露していた。

2023年12月