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介護保険制度改革/1号保険料所得区分を13段階に/2割自己負担対象者の拡大は見送り

介護保険料段階表 厚生労働省の資料より

 2024年の介護保険制度改革などで、24年度以降、介護関連の負担が一部見直される。昨年末、政府・与党は65歳以上の保険料(1号保険料)について、所得に応じて決める際の指標となる標準所得区分を細分化し、年間所得が420万円以上の人は新年度から負担をアップさせることにした。一方、サービス料の自己負担割合(原則1割)が2割となる対象者の拡大は先送りした。

 1号保険料は国が示す標準所得区分を参考に各市町村が決める。国は現在の標準を所得に応じて9段階に分けており、基準保険料に相当する区分は「第5段階」(全国平均月額、6014円、21〜23年度)だ。最高の「第9段階」は年間所得320万円以上、最低の「第1段階」は年金収入80万円以下の住民税非課税世帯など。第9段階の保険料は基準額の1・7倍の乗率としている。

 厚生労働省は9段階の所得区分を13段階に増やし、新たに「420万円以上」「520万円以上」「620万円以上」「720万円以上」の4区分を加えることにした。対象者は約145万人で、第13段階の保険料は基準額の2・4倍とする。金額だと約4200円増の1万4434円に膨らむ。

 これに対し、第1〜3段階の保険料は軽減する。いま第1段階は基準額の0・3倍に設定されているが、これを0・285倍に、第2段階は0・5倍を0・485倍に、第3段階は0・7倍を0・685倍にそれぞれ引き下げる。約1323万人が対象となる。

 これらの区分や乗率は国の標準。国の標準より段階を増やして上位所得者にさらなる負担を求める自治体も出てくるとみられる。

 介護保険制度で新たな負担となるのが、一部の老人保健施設や介護医療院の多床室(大部屋)の室料だ。これまで個室と違って大部屋は室料不要だったが、老健施設の中でも比較的容体の安定した人が入居する「療養型」などでは25年8月から大部屋料金(月額8000円程度)が発生する。ただし、低所得の人には配慮する。

 一方、最大の焦点だった、介護サービス利用料の自己負担割合を2割とする対象者の拡大については「27年度前までに結論を得る」として、先送りが決まった。

 現行は1割負担を原則とし、年金収入で年280万円以上の人は2割負担、340万円以上は3割負担となっている。厚労省は昨年末、2割負担となる人を「年収190万円以上」に広げる案などを示していた。決定を先送りした際、今後の検討事項として所得以外に「金融資産の保有状況」も反映させることを挙げており、今後は低所得でも預貯金や株、土地などを持つ人は自己負担が増える可能性がある。このほか、要介護1、2の人を市町村の総合事業へ移行させる案や、ケアプランの有料化についても導入は見送られた。

2024年2月