主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2010年ケニア・エチオピア エチオピアから (1)

増え続けるソマリア難民
希望はどこに

4歳の妹カイファちゃん(右)を抱くハビバちゃん。カイファちゃんは自力で歩くことが難しい=エチオピア・ドロアドの難民一時滞在センターで2010年6月15日、小松雄介撮影

4歳の妹カイファちゃん(右)を抱くハビバちゃん。カイファちゃんは自力で歩くことが難しい=エチオピア・ドロアドの難民一時滞在センターで2010年6月15日、小松雄介撮影

 インド洋に突き出す「アフリカの角」と呼ばれるソマリア。独立から半世紀がたつが、約20年間にわたり内戦が続く。国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR)によると国外に避難するソマリア難民は約59万人、国内避難民は約140万人。南部での戦闘の激化と干ばつの影響でその数は増え続ける。6 月20日は「世界難民の日」

 ソマリア国境に位置するエチオピア南東部の町ドロアドには、連日約50人のソマリア人がたどり着く。大半は女性と子ども。UNHCRとエチオピア政府の聞 き取り調査で難民として認定された人々は、一時滞在センターのテントで数日間を過ごし、キャンプへの移送を待つ。気温は40度弱。乾燥した大地に太陽が照 りつけ、熱風で砂ぼこりが舞う。

 6月15日、ソマリア南部のゲド州から逃げてきたラーマ・モハメッド・アリさん(30)の次女ハビバちゃん(6)は両腕で4歳の妹を抱え、一時滞在セン ターにいた。妹のカイファちゃんの体重は、同じ年ごろの子どもの約半分の6・2キロ。やせ細った手足で姉の体にしがみつく。診療所の医師によると栄養失調 で歩けないという。ハビバちゃんは「大好きな妹だから一日中私が抱くの」と話す。ラーマさんはカイファちゃんを心配そうに見つめ「1年前から下痢が続き、 食欲がない。戦闘に巻き込まれるのが怖く、病院に連れて行けなかった」と表情を曇らせる。

 昨年4月、ドロアド付近にUNHCRが設けた難民キャンプは既に定員の約1万7000人に達し、今年2月には近くに二つ目のキャンプが設けられた。その キャンプの収容者も既に約1万4000人。全体の65%が18歳未満だ。先の見えない母国の混乱が子どもたちの夢や希望を奪う。【ドロアド(エチオピア) 遠藤孝康】

エチオピア

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◇ソマリア

 1960年、英領北西部とイタリア領南部が相次いで独立し、合併して成立。91年、バーレ独裁政権が打倒され、無政府状態に。国連は米軍主体の平和維持活動(PKO)部隊を派遣したが、95年に撤退した。04年10月には有力勢力が隣国ケニアで暫定政府の樹立を宣言。06年12月、首都モガディシオを制圧したが、支配地域は限定的で、南部では国際テロ組織アルカイダと連携する急進的イスラム勢力「アルシャバブ」が勢力を拡大している。ソマリアを拠点とする海賊による被害も深刻。米国のシンクタンク「平和基金会」が発表した09年の破綻(はたん)国家ランキングでは1位にランクされた。

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