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世界子ども救援キャンペーン/パキスタン

命がけのごみ拾い

腰まで水につかり、川に浮かんだごみの中から売れそうなものを探す少年=パキスタン・ラワルピンディで、小川昌宏撮影

 どす黒い川に腰までつかり、少年がごみをかき分けていた。パキスタン・ラワルピンディのスラム地区。下水道はなく、異臭が鼻をつく。子どもたちは水面を覆うごみの中からかき集めたペットボトルなどを売って現金を得ているが、溺れる子が後を絶たない。ごみ集めも命がけだ。

 スラムに住むサジッド・ハン君(17)は昨夏、川で溺れているアフガニスタン難民の男の子を助けた。前夜からの雨で通常1メートル程の水位は3メートルを超え川沿いの道路に迫っていた。通りかかった別の少年が偶然、川で浮き沈みする子に気付いて川に入り、ハン君が土手に引き上げた。男の子は水を飲んでいたが、無事だった。

 ハン君が必死だったのには訳がある。3年前にも同じ場所で溺れている子を引き上げたが、その後、息を引き取った。ハン君は「今回は本当に良かった」と振り返ったが、危険な状態は今も変わっていない。おびただしい量のごみは雨が降るとさらに増え、川は子どもたちの格好の"仕事場"となる。土手でごみを拾っていたアザムグル君(18)は「子どもたちは何も恐れず川に入ってしまう。水面との境は見えにくく、土手から誤って転落する子も多い」と話す。

カラチ

  近くに住むサフダール・フセインさん(33)もこの2年間で、アフガン難民の少年が流される場に2度居合わせた。助けようとしたがかなわず、15歳と8歳の少年の遺体は下流で見つかったという。

 毎年、この国で何人の子どもたちが川で命を落とすのか、確かな数字はない。「子どもたちは常に危険と隣り合わせ。ごみなど拾わなくても、普通に暮らせる社会になればいいが……」。フセインさんは川を見つめ、そうつぶやいた。

 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)イスラマバード事務所のドゥニヤ・アスラム・カーン広報官は「溺れる心配はもちろん、子どもたちが医療廃棄物に触れてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染する危険性もある。事態は深刻だ」と指摘する。【文・堀江拓哉、写真・小川昌宏】

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