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世界子ども救援キャンペーン/パキスタン

瞳に映る夢・・・平和
真剣なまなざしでホワイトボードに書かれた九九をとなえる子どもたち。この学校ではアフガン難民や国内避難民の子どもたちが同じ教室で学んでいる=パキスタン・ラワルピンディで小川昌宏撮影
カラチ

 廊下で1人、教室の仲間を見つめる少年がいた。パキスタン最大の都市・カラチにある「エディ子どもの家」。地元の福祉団体が運営する保護施設で、半年前から暮らす少年は12、13歳くらい。耳が不自由で言葉が話せず、文字も書けない。記者が近付くと、身ぶり手ぶりで自らの境遇を伝えようとした。

 「顔つきからすると、北西部の部族地域の子。戦乱から逃れる際、家族とはぐれたらしい」。職員のムハンマド・カユムさん(45)は話す。施設では6〜14歳の子ども約80人が職員と共同生活を送る。家族と離れ離れになったり、虐待を受けたりと、入居の理由はさまざまだ。

 カユムさんらは、家族と生き別れた子どもたちの顔写真を入り口に張り出し、ラジオで子どものインタビューを流すなど、親を捜す努力を続けている。3月には10人以上が家族の元に帰った。しかし、少年は名前も分からず、写真の情報欄には登録番号「263908」とあるだけ。少年の手ぶりから「遠くから来た。朝起きたら誰もいなくなっていた」ということは理解できたが、それ以上の手掛かりはない。カユムさんは「ラジオも使えず、状況は厳しいが、何年かかっても見つけ出したい」と力を込めた。

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 「2掛ける1は2、2掛ける2は……」。ラワルピンディのスラム地区にある学校では、地元の子どもとアフガニスタン難民、国境地域から逃げてきた国内避難民の子どもが一緒に学んでいた。アフガン難民のナヒダちゃん(9)は「ウルドゥー語の授業が一番好き」と目を輝かせた。試験を受けていたサルマさん(13)は部族地域の戦闘から一家で逃げてきた。心臓が悪く、バイクタクシー運転手の父が手術を受けさせようと仕事に励んでいる。サルマさんは「将来は医者になりたい」と夢を語った。

 アフガン難民が生まれてから30年以上。故郷に平和が訪れ、彼らが帰還できる日がいつになるのか、分からない。それでも、子どもたちの元気な声や真剣なまなざしから、勉強できる喜びが伝わってきた。ムハンマド・アリ先生(25)は「将来、彼らが夢を実現できる社会になってほしい」と祈るような表情で語った。【文・堀江拓哉、写真・小川昌宏】=おわり

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