主な事業/国際協力に関する事業(世界子ども救援事業)

2013年ブルキナファソ報告【写真集】 光りなき黄金の大地

生きるためここで

地下20メートルにもなる縦穴の底で採掘をするギブレナ君(12)。安全の保証はなく、この翌日には縦穴が崩れ2人の子どもが命を失った

地下20メートルにもなる縦穴の底で採掘をするギブレナ君(12)。安全の保証はなく、この翌日には縦穴が崩れ2人の子どもが命を失った

 深さ約20メートルの縦穴の最深部で、少年はおびえるような目で働いていた。穴の岩質はもろく、落盤の危険がつきまとう。西アフリカ・ブルキナファソのキンテンガ金鉱。全労働者の2割を占める約400人は未成年で、児童労働が常態化していた。

 掘削した岩石をハンマーと加工機械で粉状にし、水にさらして金を探す。スレ・マン君(17)は半年前、最も危険な掘削作業に就いた。狭い穴を素足で下り、長さ30センチほどの工具で岩肌を削る。40度を超す外気を吸収した坑内には熱がこもり、幾度拭っても汗が噴き出した。

 「学校には行ったことがない。弟が家畜の世話を一人でできるようになったから、働き始めたんだ」

 仕事は午前6時から日暮れまで。夜は大樹の下で数人と寄り添って眠る。1日で得る賃金約50円の大半は農業を営む両親に渡す。

ブルキナファソ ゴーデボー難民キャンプ

ブルキナファソ ゴーデボー難民キャンプ

 砕石作業の小屋には、2歳の次男を抱いてハンマーを握るコンパオレ・サラマタヒさん(22)がいた。砕く量は1日60~70キロ。夫(30)も別の金鉱で働く。「生きるためには、子どもを連れてでもここで働くしかない」と話す。

 ブルキナファソは12年に32・6トンの金を産出し、アフリカ有数の金産出国となった。一方で技術を要しない中小の金鉱では児童労働が問題となり、ユニセフ(国連児童基金)は09~12年に約1万5000人を保護し、職業訓練学校に入学を促すなどした。だが、金鉱で働く子どもは後を絶たない。

 後日、キンテンガ金鉱を訪ねると、少年たちがうつむいていた。近くの金鉱で落盤事故があり死者が出たという。マン君が言った。「掘削は怖い。だけどここの仕事を失っても、他の金鉱に行くしかないじゃないか」<写真・大西岳彦/文・平川哲也>

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